「もやもや病 全国統一市民公開講座2024」が本年も開催されました。この講座は厚生労働省、もやもや病研究班(医師グループ)、当会(もやもや病の患者と家族の会)の共催となります。
(1)日時: 2024年3月16日(土)14時~16時30分
(2)場所: Web配信形式(会場開催はなし・後日オンデマンド予定)
(3)講演者・講演内容:
開会のご挨拶「~この6年間におけるもやもや病研究班のあゆみ~」
宮本 亨 先生(厚労省 もやもや病研究班主任研究者・京都大学医学部附属病院もやもや病支援センター・脳卒中療養支援センター)
患者会からのご挨拶
和田 博(もやの会 副代表)
「もやもや病の新しい診断基準とお勧めできる治療法」
藤村 幹 先生(北海道大学 脳神経外科)
「もやもや病の遺伝について~RNF213について分かっていること、分かっていないこと~」
宮脇 哲 先生(東京大学 脳神経外科)
「もやもや病がたまたま見つかったらどうする!?」
黒田 敏 先生(富山大学 脳神経外科)
「もやもや病の脳出血:なぜ起こる?どう防ぐ?」
高橋 淳 先生(近畿大学 脳神経外科)
「もやもや病で起こる学校・学習での困りごと~こんなときにはどうしたらいいの?~」
舟木 健史 先生(京都大学 脳神経外科)
「生涯にわたるもやもや病とのつきあい方~わからないことを誰に聞けばよいか、どこに相談すればよいか~」
宮本 亨 先生(京都大学医学部附属病院もやもや病支援センター・脳卒中療養支援センター)
(5)会場内の様子、雰囲気
Web会議アプリ「Zoom」を使用した配信で、PCの場合には専用のアプリのインストールが必要となります。iPadやスマートフォンを使用する場合はアプリを使用せずWebブラウザで閲覧することもできました。
画質も良く音声も聞き取りやすく、参加しやすい講座でした。
(6)所感
多くの先生方が参加され、ご専門の内容を一般の方向けに分かりやすく話されていて、とてもためになる講座でした。もやもや病にまだ詳しくない方がご覧になった際に網羅的に色々なことが理解できるように構成されていて、今回の講座ひとつで病気への理解がかなり深まります。
私自身は、宮本先生のお話にあった家族内発症が10~15%あるけれどもこれは遺伝の確率が10~15%という話ではなく家族全体での話である、という点が印象に残りました。つまり、親がもやもや病にかかっても子供が発症する確率はもっと低いことになります。これからお子さんを持とうという方には前向きな情報でした。遺伝子検査はできるが、そのことが確定診断にはつながらない(つまり、患者さんの立場では特にメリットがない)という点も参考になりました。
また、舟木先生のお話にあったワーキングメモリー低下等による二次障害(自己肯定感や自身がなくなることで抑うつ、自傷行為、ひきこもり、暴力などにつながる)への対応方法も興味深いものです。具体的には、マイナスの感情をポジティブワード変換によって良く捉えることによって前向きになれるような工夫など、もやもや病に限らず生活の役に立つお話でした。
手術による症状の改善を含め、総じてとても前向きになれる内容で、素晴らしい講座でした。講演者の先生方に御礼を申し上げます。